蔵元 日光氷商店

コラム

美味しいと評判の天然氷は機械製氷の氷とどう違う?2つの氷の違いを製造工程から見てみよう

天然氷で作ったかき氷はふわふわした食感で、シロップをかけなくてもほんのり甘く、しかもいくら食べても、頭がキーンと痛くなることもありません。このように、天然氷はまさに、かき氷に打ってつけなのですが、機械製氷の氷だとこうはなりません。では何が違うのでしょうか。天然氷と機械製氷の作り方を比較して、2つの氷の違いを検証してみましょう。

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天然氷と機械製法の氷の作り方の違い

かき氷に使われる天然氷は、山間地の人工池の中で、2週間以上の日数をかけて作られます。自然の寒さを利用して凍らせるので、冬だけしか作れません。機械製法の氷は、冷蔵庫などで短時間で作れるので、簡単にできて便利です。早く作れるメリットだけを考えたら、機械製法のほうが勝っています。しかし、短時間で作る氷には、不純物が混じっています。これに対して、じっくり時間をかけて作る天然氷は、不純物を排出して透明感のある氷になります。

かつて天然氷は全国各地で作られていた

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日本ではかつて、全国各地で天然氷が作られていました。冷蔵庫のなかった時代は、夏に氷を食したければ、冬に貯蔵した氷を使うしかなかったのです。そのため、昔は天然氷を貯蔵する氷室が数多くありましたが、今では全国でたった7軒しかありません。今では冷蔵庫があれば簡単に氷が作れるので、こうなってしまったのですが、それでも良質な氷が欲しければ、天然氷を使うことになります。

天然氷と純氷の違い

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かき氷に使われる氷には、天然氷のほかに純氷と呼ばれる氷があります。純氷は、コンビニなどでも売っているおなじみの氷ですが、天然氷とはまったく製法が違います。純氷も人工的な機械製法で作った氷なので、自然の寒さで凍らせた天然氷とは別物なのです。純氷は、冷蔵庫で作った氷より透明度がありますが、それでも天然氷ほどのまろやかさはありません。

天然氷と純氷のどちらがかき氷に向いてる?

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現在のところ、かき氷に使われる氷は、純氷の方が圧倒的に多くなっています。それは、純氷のほうが手に入りやすく値段も安いからです。天然氷を使うと、どうしてもかき氷の値段が高くなるので、純氷を使う店が多いのでしょう。かき氷を食べる際に、シロップやソースの味を純粋に味わいたければ、純氷が向いており、シロップやソースと氷とのハーモニーを楽しみたいなら天然氷が合っています。

かき氷店は天然氷よりも純氷のほうが使いやすい

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天然氷のかき氷は美味しいと評判がよいので、どのかき氷店でも使ってみたいに違いありません。しかし、天然氷は高いので、かき氷の値段も高くなってしまいます。それではお客が来てくれるか、気になるでしょう。おまけに、天然氷は供給量が少ないので、切らさずに入手するのが困難です。だから、多くのかき氷店では、天然氷のほうが美味しいとわかっていても、純氷を選ぶことが多いのです。

純氷も天然氷のようにじっくり凍らせる

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純氷は機械製法で作るとはいえ、冷蔵庫で作る氷より透明感があって味も美味しいです。それは、純氷も天然氷と同様に、時間をかけて作るからです。ゆっくり凍らせると、純氷の中央に白く濁った部分ができますが、これは水に含まれた不純物が集まったものです。純氷は、製造過程でその部分を取り除くので、透明な氷になります。天然氷のように、自然の寒さで凍らせるわけではありませんが、純氷も時間をかけて凍らせるので、天然氷に近い氷になるのです。

天然氷は自然な氷だけど手間がかかっている

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天然氷は、自然な氷だと言われることがあります。確かに天然氷は自然の中で作られるので、その言い方は間違っていません。しかし、自然な氷というと、何もしないで、自然に凍った氷と思ってしまう人もいるでしょう。実際には、天然氷ができるまでには多くの手間がかかっています。凍らせるだけなら簡単ですが、美味しい氷を作るには、多くの職人の協力が必要です。良質な天然氷を作るには、氷を育てなければならないのです。

天然氷づくりは秋から始まる

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池に張った水が氷るのは冬ですが、良質な天然氷を作るためには、秋から準備をしなければなりません。まず、天然氷を作る人工池を清掃して、ゴミを取り除き池の底を耕します。そして、池の周辺の草刈りをして、不純物が混入するのを防ぐことも忘れてはなりません。やがて冬になり、気温がマイナス5度からマイナス8度くらいになると、いよいよ天然氷づくりが始まります。

天然氷づくりが始まってからの注意点

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天然氷は、人工池に水を引き入れて凍らせます。一度に池に水を満たすのではなく、少しずつ水を入れて凍らせていきます。そのため、入れる水の量をしっかり確かめて、氷が中途半端に凍らないように見張る作業が必要です。急な寒波がくると、池が部分的に凍ることがあるので、24時間体制で見張っていなければなりません。さらに、部分的な凍結を防ぐために、一晩中手作業で池の水をかき混ぜることもあります。

雪は天然氷づくりの大敵

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天然氷の上に雪が積もっても、何も問題なさそうな気がします。しかし、実際はそうではなく、雪は天然氷づくりの大敵なのです。雪が氷と混じると表面が凸凹になったり、透明感が損なわれるおそれがあります。もっと困るのは、雪は氷よりも温度が高いために、雪が積もると天然氷の表面が溶けてしまうことです。溶けた氷が固まると、滑らかさがなくなるので商品価値が下がってしまいます。

– まとめ

天然氷と機械製氷の氷は、凍らせる時間が違うので品質に大きな差が出てしまいます。天然氷は、2週間以上かけてゆっくり凍らせますが、機械製法は短時間で凍らせるので、不純物を閉じ込めたまま凍ってしまうのです。