蔵元 日光氷商店

コラム

湧水から作られる天然氷は衛生上問題ないの?天然氷の安全性と衛生について水道水と比較して検証

天然氷は湧水を人工の池に引き込んで、長期間かけて徐々に凍らせて作ります。このような作り方で、衛生上問題ないのか気になる人もいるでしょう。この記事では、天然氷を安全性と衛生面の両方から見ていきます。湧水などの天然水を、水道水と比較して検証してみましたので、気になる方はぜひ読んでみてください。

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天然氷を作る天然水とはどんな水?

天然水とは、消毒や殺菌などの加工処理をしていない水のことです。コンビニなどで売られている水も、ほとんどが天然水です。もちろん、天然氷を作る水も天然水ですが、コンビニで売られている天然水とは違います。コンビニの天然水は、地下水を汲み上げたものですが、天然氷の天然水は、湧水などを人工の池に引き込んだものです。もちろん、湧水の中でも清潔で、ミネラルなどを多く含んだ水が使われています。

天然氷を作る天然水は衛生上問題ないのか

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天然氷は、山間地に作った人工池に、湧水などの天然水を引き込んで作っていますが、衛生上問題はないのでしょうか。殺菌していない水を野外の池で凍らせるのですから、衛生面が気になる人もいるでしょう。しかし、天然氷は徹底された管理のもとで作られているので、安心して使用することができます。天然氷を作る池は保健所に管理され、都道府県の定める衛生基準もクリアしているので、何も心配することはありません。

天然氷はゴミを取り除きながら凍らせる

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天然氷は人工池に湧水などを引き込んで、冬の自然な寒さで徐々に凍らせます。天然氷は、ある程度の厚みと太さが必要なので、表面が凍ったら新たに水を入れて、凍らせる工程を繰り返します。天然氷ができるまでに、最低でも2週間はかかるので、どうしてもゴミや枯れ葉などが落ちてきます。そのため、天然氷を作る現場にはスタッフが常駐して、ゴミや枯れ葉などを取り除く作業が必要です。

天然氷の中の不純物も取り除かれる

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冷蔵庫で氷を作ると、白く濁った氷ができます。これは、水の中の空気や不純物が、混じったまま凍るので白く濁るのです。冷蔵庫の氷は短時間で作られるため、水の中の不純物は、除去されないまま凍るのでこのようになります。しかし、天然氷は2週間以上もかけて作られるため、水の中の不純物が押し出されるので、透明な澄み切った氷ができるのです。氷の中に不純物が混じっていると、氷が溶けやすくなるため、かき氷などを作ろうとすると、すぐに溶けだして水っぽくなってしまいます。

天然氷で作るかき氷の美味しさの秘密

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天然氷は、市販の氷に比べてかなり高価です。しかも、天然氷はどこでも手に入るわけではありません。そのため、天然氷で作ったかき氷は値段も高くなります。しかし、値段が高くても美味しいので、天然氷のかき氷はよく売れているようです。ところで、天然氷で作ったかき氷は、なぜ美味しいのでしょうか。天然氷にはミネラルが豊富に含まれており、味が良い上に普通の氷に比べて硬いので、細かく削るかき氷に向いています。細かく削ったかき氷は口溶けがよく、ほんのり甘みがあるので美味しく感じるのです。

天然氷は庶民には手が届かなかった

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冷蔵庫のなかった時代は、夏に氷を食べるのは贅沢中の贅沢でした。夏に氷を食べるためには、冬の間に切り出した氷の塊を、氷室に貯蔵しなければなりません。それを食べられるのは、一部の特権階級だけだったので、天然氷の歴史は長いものの、多くの庶民が氷を口にできるようになったのは、明治になってからでした。その頃の天然氷は北国から船で運ばれてきたり、外国からの輸入品で非常に高価なものだったのです。その後、国産の天然氷製造が盛んになり、冷蔵庫が普及するまで日本各地で作られていました。

100軒あった天然氷の蔵元が7軒に激減

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明治の後半になると、製氷機が普及するようになり、天然氷のシェアは一気に激減していきました。そのため、昭和初期には全国に100軒ほどあった氷室も、現在ではわずか7軒になってしまいました。この7軒の蔵元のうち、3軒が日光にあります。そのため、日光の天然氷は昔ながらの製法を正しく受け継いでいるので、美味しい氷が作れるのです。日光で、天然氷の生産が本格化してから100年以上たちます。日光は冬の気温が低く雪が少ないという、天然氷製造に適した条件も揃っています。

天然氷づくりは下準備から手間がかかる

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良質な天然氷を作るには、まず人工池の底の土を耕すことから、始めなければなりません。天然氷はかなりの厚みがあるので、水が氷になるときの膨張を受け止めるために、池の底を柔らかくする必要があるのです。まず、池の底に溜まったゴミや枯れ葉などを取り除き、底の土を耕して、ようやく下準備が完成します。天然氷は、冬ならいつでも作れるわけではありません。夜間の気温が、高くても低くても良質な氷ができないので、気温を見極めながら湧水を引き入れていきます。

天然氷づくりは熟練の腕と勘が頼り

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天然氷づくりは12月から始まります。しかし、すぐ池に湧水を入れて、氷づくりに取り掛かかるわけではありません。池を凍らせないために、常に湧水を引き入れながら気温の変化を見て、よい氷が作れると判断したら水を止めます。そして、静かに時間をかけて凍らせていくのですが、気温の変化などによっては、途中で失敗することもあります。もし思ったような氷ができないと判断したら、その時点で氷を割ってまた初めからやり直します。自然の中で凍らせる天然氷づくりは、想像以上に難しい作業なのです。

天然氷は手間をかけて育てるもの

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氷が順調にできるようになったら、今度は氷の上に溜まったゴミや枯れ葉を、取り除く作業を始めます。氷の上に雪をまいて、雪と一緒にゴミをほうきで取り除くのです。ゴミや枯れ葉だけでなく、降り積もる雪も氷づくりの大敵です。氷の表面に雪が積もると、氷の品質が下がってしまうので、丁寧にとりのぞかなくてはなりません。もし雨が降ると、氷そのものが台無しになるので、氷を割って最初から作り直します。天然氷づくりは自然との闘いなのです。

– まとめ

天然氷の安全性と衛生面については、水道水と比較しても何ら問題ありません。天然氷は、徹底された管理のもとで作られています。天然氷を作る池は保健所の認可を受け、都道府県の定める衛生基準をクリアしているため、衛生面の心配もないので安心です。