蔵元 日光氷商店

コラム

天然氷と純氷はどう違うのか。製法の違いのほかそれぞれの氷の違いを検証してみました

天然氷と似た氷に、純氷があります。純氷も透明度が高く、冷蔵庫で作る氷よりも天然氷に近いことがわかります。また、純氷も天然氷と同様に、かき氷に利用されることが多いようです。では、天然氷と純氷は、どう違うのでしょうか。2つの氷の製法を見比べて、それぞれの氷の違いを検証してみましょう。

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天然氷と純氷はここが違う

天然氷は、自然の寒さを利用して凍らせますが、純氷は機械製法で人工的に凍らせたものです。つまり、純氷は機械的に作られた氷なので、天然氷とは決定的に違います。しかし、純氷は天然氷に近い点もあります。それは、他の機械製法の氷が短時間で作られるのに対して、純氷は時間をかけて作っていることです。といっても、48時間程度で作られるのですが、これでも透明度が高く不純物の少ない氷ができます。

天然氷と純氷は使う水も違う

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天然氷は、山の自然な湧水を利用して作りますが、純氷は工場で生産するので水道水を使うことが多いようです。この点も、天然氷と純氷の大きな違いです。山の湧水にはミネラルが豊富に含まれているので、味がまろやかになります。しかし、水道水にはミネラルは含まれておらず、消毒のための塩素が入っているので、天然氷ほどの美味しい氷は期待できません。

冷えてから作る天然氷と冷やして作る純氷

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純氷は工場の中で、水を冷やして凍らせます。これに対して、天然氷は水が冷えて凍ったものです。純氷はマイナス10度で強制的に冷やして凍らせますが、天然氷は自然に寒くなるのを待って凍らせます。このように、純氷はどこまでも人工的に作るのに対して、天然氷はあくまでも自然まかせなのです。そのため、天然氷づくりにはロスも多いのですが、工場で作る純氷にはロスはありません。

天然水で作った純氷もある

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純氷は工場で作るので、水道水を使うことが多いのですが、中には天然水を使った純氷もあります。この場合は、ミネラルを大量に含んだ水を使うので、機械製法であっても天然氷に近い氷ができます。天然氷と純氷のどちらが、かき氷に向いているかという点については、人によって好みが分かれるようです。純氷はサッパリした口当たりで、天然氷はまろやかな味がします。

天然氷と純氷のかき氷それぞれのメリット

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一般的に、純氷より天然氷で作ったかき氷のほうが、美味しいと言われています。しかし、天然氷は製造量が限られているので、入手しにくいのが現状です。製造量が少なければ値段も高くなるので、天然氷のかき氷はどこも高値です。このように見ていくと、安定して手に入れることができて値段も安ければ、純氷のほうがかき氷に適しているという人も、いるかもしれません。

天然氷は冬寒いだけでは作れない

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天然氷は、冬寒いだけでは作れません。まず、山間地に人工池を作って湧水を引き込むので、ミネラルを多く含んだ良質な湧水があることが、条件になります。また、池を作る場所はなるべく日に当たらず、気温がマイナス5度前後で安定していて、あまり雪が降らないことも重要な条件です。日本全国でも、これだけの条件を満たす場所は、そう多くはありません。この条件の厳しさが、天然氷の生産量が少なく値段が高い理由の1つとなっています。

天然氷と違って純氷は簡単に作れる

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純氷は、水道水や天然水をろ過して良質な水にしてから、48時間以上かけてゆっくり凍らせます。すべて工場内で作るので、天然氷のような厳しい条件はありません。自然の中で作る天然氷と、工場で作る純氷にはこのような違いがあります。純氷は量産しやすいので値段が安いため、多くのかき氷店で使われています。しかも、純氷は天然氷のように硬いので溶けにくく、かき氷に向いていると言えるでしょう。

最高級のかき氷には天然氷が不可欠

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かき氷をリーズナブルな値段で提供している店なら、純氷のほうが向いているかもしれません。しかし、最高級のかき氷を出すなら、やはり天然氷を使う必要があるでしょう。天然氷を使ったかき氷の、ふわふわ食感やまろやかさは、他の氷では絶対に真似できないからです。そのため、最高級のかき氷を提供するか、それとも値段を抑えて提供するかによって、選ぶ氷が変わってきます。

天然氷と純氷の衛生面の違い

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衛生面では、自然の中で作る天然氷よりも、工場で作る純氷のほうが勝っているのは、言うまでもありません。工場では作業前も作業中も、作業後にも厳しいチェックがあり、定期的に工場内を消毒しているので、衛生面はほぼ問題ないと言っていいでしょう。それに比べて、山の中に池を掘って作る天然氷は、衛生面では純氷に劣っていると言わざるを得ません。しかし、天然氷は保健所の認可や、都道府県が定める基準をクリアしないと生産できないので、衛生面でも一定レベルのチェックは受けています。

天然氷も純氷も家庭で味わえる

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天然氷は小売りもしているので、一般の人でも買うことができますし、純氷はコンビニなどで購入できます。つまり、天然氷も純氷も手軽に入手できるので、家庭で味比べができるのです。どちらが美味しいか知りたい人は、両方とも買って味を比べてみてはいかがでしょうか。天然氷を使っても純氷を使っても、家庭でかき氷を作ればお得な値段で味わえます。

– まとめ

天然氷は自然の中で作り、純氷は工場の中で作るという大きな違いがあります。天然氷は2週間以上かけて作りますが、純氷は48時間程度で作る点も違っています。しかし、純氷は普通の氷よりも透明度があり、味もよいので天然氷に近い氷として重宝されています。