天然氷で作ったかき氷はとても美味しいと評判ですが、その秘密は氷にあります。天然氷は、冷蔵庫などで作る氷とは、まったく製法が違います。冷蔵庫の氷は、水道水を数時間で凍らせて作りますが、天然氷は山の中の池に水を張って自然の寒さで凍らせたものです。ミネラルを豊富に含んだ湧水を、2週間以上かけてゆっくり凍らせるから、美味しい氷が作れるのです。

天然氷の美味しさの秘密は、長い時間をかけて作ることにあります。長い時間かけてゆっくり凍らせると、水の中に含まれていた不純物が、徐々に押し出されるので、純度が高く雑味のない氷が出来上がります。天然氷には透明感がありますが、それは水に含まれる空気が外に押し出されたからです。これに対して、冷蔵庫で作った氷は空気が押し出される前に凍ってしまうので、白く濁った透明感のない氷になってしまうのです。

天然氷に使う水は山間地の湧水です。湧水にはミネラルが豊富に含まれているので、飲んでも美味しく感じます。一方、水道水にはミネラルが含まれていないので、冷蔵庫で作った氷は美味しくないのです。また、水道水には消毒用の塩素が含まれていますが、冷蔵庫で凍らせると数時間で氷になるため、塩素を含んだまま凍るので美味しくない氷になってしまいます。

天然氷は2週間以上かけて凍らせるため、非常に手間がかかっています。2週間の間には、天候不順やさまざまなトラブルが起こります。また、氷の上にゴミや枯れ葉が落ちてくるので、こまめに取り除かなければなりません。天然氷は出来上がるまで、24時間体制で監視する必要があるのです。それだけの手間をかけて作るから、天然氷は美味しいのです。

天然氷のかき氷は、ミネラルを豊富に含んだ湧水を使って長期間かけて作るから美味しいのです。天然氷を使ったかき氷が販売されると、あまりの美味しさにたちまちブームになりました。それまでは、かき氷は夏だけの食べ物でしたが、今では年間を通して食べられるスイーツになりました。といっても、やはりかき氷がよく売れるのは夏ですが、最近では冬でも行列ができるかき氷の名店が、各地に誕生しています。

天然氷は長い時間かけて凍らせるので、硬く密度が濃いのが特徴です。硬いから天然氷は溶けにくく、しかも細かく削りやすいのでかき氷に向いています。しかし不思議なことに、硬い天然氷を削るとふわふわ食感になるのです。しかも、天然氷で作ったかき氷は、ほのかに甘さを感じます。この甘さは砂糖とは明らかに違います。いわば水が本来持っている甘さなので、まさに自然の甘さと言っていいでしょう。

天然氷を使ったかき氷は、ふわふわ食感でなめらかさを感じるといいます。天然氷は山間地で、自然の寒さを利用して徐々に凍らせるので、そもそも氷の作り方が違います。そこに、美味しさの秘密があるのでしょう。その美味しい天然氷を使ったかき氷を、各地の名店が工夫を凝らして提供しているので、さらに美味しくなっています。季節ごとに味を変える店もあるので、大のかき氷ファンは、何度でも足を運びたくなるに違いありません。

最近、地産地消という言葉をよく耳にします。地産地消とは、地元でとれたものを地元で消費しようというものです。かき氷の名店は全国各地にあるので、それぞれの土地に有名な地元産のフルーツがあります。そのフルーツを、天然氷のかき氷に乗せると美味しさが倍増します。天然氷とフルーツは相性がいいのです。天然氷もフルーツも自然のものですから、よく合うのかもしれません。

天然氷のかき氷が人気なのは、インスタ映えする見た目にもあるようです。かき氷を食べる前に写真を撮る人が多いのですが、その写真がインスタに掲載されると、さらにそれを見た人が店にやってきます。そのため人気店がさらに人気となり、行列ができる店が誕生しているのです。しかし、店の前に長蛇の列ができると他店の迷惑になるので、整理券で対応している店もあるほどです。

日本では、平安時代から天然氷のかき氷が食べられていました。天然氷は、当時は貴族しか食べられない貴重品でしたが、甘い汁をかけて食べていたということですから、今のかき氷の原型がすでにあったことになります。天然氷は、海外でも昔から使われていましたが、海外では食料の貯蔵用に天然氷を使っていました。といっても、一般の家庭で使われていたのではなく、夏場に戦場で新鮮な食材を確保するために利用されていました。天然氷を平和利用していたのは、日本だけだったのです。