蔵元 日光氷商店

コラム

かき氷などで需要の高い天然氷はどうやって切り出すのか?切り出しに使う道具などもご紹介

かき氷に利用されるようになって、天然氷がブームとなり、一気に需要が増えました。天然氷は人工の池で長期間かけて作りますが、出来上がった氷をどうやって切り出すのでしょうか。また、天然氷の切り出しには、特別な道具が必要なのでしょうか。ここでは、天然氷の切り出し方と、使う道具について解説します。

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天然氷を切り出すタイミング

天然氷は、人工の池に湧水を少しずつ引き入れて、徐々に凍らせながら作ります。途中で雪が降ると、氷の上に積もった雪を取り除きます。雪の温度は、氷づくりに必要な温度より高いので、雪が積もると氷の表面が溶けてしまうからです。もちろん、氷の上に落ちたゴミや枯れ葉なども、取り除きます。こうして2週間から3週間かけて凍らせたら、いよいよ氷の切り出しが始まります。

天然氷の切り出しサイズは決まっている

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天然氷は、タテ48㎝、ヨコ75㎝の大きさに切り出します。これだけの大きさの氷を切り出すのですから、天然氷の切り出しは一人ではできません。切り出し作業は、気温が高いとできないので、寒い日が続く時期を選んで行われます。といっても、寒い日が続く時期が明確にわかるわけではないので、長年の経験と勘で見極めます。切り出しができそうな日の前日には、氷の上に目印のラインを引いて準備を整えます。

40㎏の天然氷の塊を切り出す

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天然氷の切り出しが始まると、前もって引いていたラインの通りに、カッターを使って切っていきます。切り出す氷の重さは40㎏にもなるので、池から引き上げるだけでも大変な作業です。作業は数人がかりで行いますが、小さい池でも1000個もの氷の塊を切り出すので、簡単には終わりません。しかも、天候を見ながらの作業なので、なおさら大変です。天然氷づくりは、見えないところで多くの人の努力があるのです。

切り出した天然氷を運び出す

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切り出した天然氷は、池から運び出して氷室に貯蔵します。運び出しには、竹のレールが使われます。あらかじめ組んでおいた、竹のレールを池の上に敷いて、その上を氷を滑らすように移動させるのです。切り出した天然氷は滑りやすく、うっかりするとスピードが出過ぎて、他の氷とぶつかる恐れもありますが、竹のレールを使えば、竹の節がブレーキの役割をしてくれます。

天然氷を保存する

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切り出した天然氷は、氷室の中でおがくずを敷いた上に保存します。氷室の中では、1枚の氷に対して3枚のふた氷を乗せ、積み重ねて杉のおがくずで周囲を囲います。おがくずは、湿度を吸収したり発散したりするので、氷の表面が適度な湿度に保たれるために、1年もの長い間保存できるのです。ただし、切り出した大きさのまま、1年間保存できるわけではありません。氷室は春になると温度が上がるので、5月くらいになると半分くらまで溶けてしまいます。

天然氷を氷室から運び出す

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氷室の中から天然氷を運び出すには、まずおがくずに埋もれた氷の塊を、引っ張り出さなくてはなりません。引っ張り出したら、表面についたおがくずを洗い流し、業務用の大きなカッターで1つの塊を8つに分けて出荷します。このようにして、天然氷が店や卸店に到着して、かき氷などに利用されます。天然氷が、かき氷などになって一般の人の口に入るまでには、多くの人の手間がかかっているのです。

天然氷は一般の人も買える

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天然氷はかき氷店などに卸すほかに、一般の人向けに小売りもしています。天然氷を扱っている問屋に行けば売ってくれるので、家庭でも気軽に天然氷を味わえます。天然氷を使って家庭でかき氷を作ったり、カクテルやウィスキーに入れてもいいでしょう。普通の氷のかわりに天然氷を使うと、飲み物の味が抜群によくなるのでおすすめです。ただし、天然氷は数に限りがあるため、必ず買えるとは限らないので注意しましょう。

天然氷づくりは池の手入れから始まる

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普通の氷より格段に美味しいと評判の天然氷は、多くの人の努力の結晶とも言えるでしょう。天然氷は、自然の中に作られた人工池で生産されますが、天然氷づくりはまず池の手入れから始まります。池の底の不純物を取り除くのはもちろんですが、池の底を耕して柔らかくすることも、良質な天然氷を作るためには欠かせない作業です。寒くなり人工池に氷が張ってくると、池の底が柔らかくないと、凍った池の表面が盛り上がってしまうからです。

天然氷は池に少しずつ水を引き入れて凍らせる

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人工池の準備ができたら、湧水などを引き入れて徐々に凍らせていきます。その際、水は少しずつ入れて凍らせ、またその上に水を引き入れて新たに凍らせます。この工程を繰り返して、天然氷は徐々に厚みを増していきます。つまり、天然氷は一度に池を凍らせて作るのではないのです。少しずつ水を入れて凍らせることによって、水の中の不純物が外に排出されやすくなり、透明感のある氷になります。

天然氷は途中で失敗することも多い

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天然氷を作る過程で、良質な氷ができないと判断したら、池の氷をすべて割って最初から作り直します。たとえば、途中で雨が降ると氷の表面が滑らかにならないので、良質な氷にはなりません。また、気温が高すぎたり、低すぎてもやり直しになります。納得がいく氷が張り始めたら、今度は氷の上の掃除をします。天然氷は雪が積もっても、ゴミや枯れ葉が落ちても品質に影響するので、丁寧に取り除かなければなりません。

– まとめ

天然氷の切り出しはかなりの重労働なので、数人がかりで大型のカッターなどを使って行われます。切り出した氷は、すぐに氷室に貯蔵されますが、気温の上昇とともに表面が溶けていくので、5月くらいになると半分ほどの大きさになってしまいます。