天然氷とは、ただ単に大自然の中で作られた氷ではありません。本物の天然氷とは、限られた環境の中で時間と労力をかけてゆっくりと作られ、育てられた氷のことで、今では秩父や日光、軽井沢など、数ヶ所でしか作られなくなってきています。

天然氷と一般的な氷の違いが一番わかりやすいのは、見た目の透明度です。職人の伝統技術のもとで作られた天然氷は氷そのものの自浄作用によって不純物が自然と取り除かれていくため、一般的な氷にありがちな濁りがほとんどありません。最近では家庭用冷蔵庫の製氷機能の性能も格段に上がっていますが、それでも、氷職人の伝統技術にはかないません。

ここ数年は都内のカフェやバーでも天然氷の風味が味わえるところが増えてきています。多少ハードルが高くても、天然氷をひとつの伝統文化として味わう、というのもひとつのスタイルと言えるのではないでしょうか。